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「トーテム」とは広辞苑(岩波書店)によると・・・・・社会の構成単位となっている親族集団が神話的な過去において神秘的・象徴的な関係で結びつけられている自然界の事物。主として動物・植物が当てられ、集団の祖先と同定されることも多い。・・・・・とある。
また、「トーテムポール」とはトーテム記号を描き、または彫刻を施した標柱。北アメリカ・インディアンが多く門前に立てる。・・・・・とある。
トーテムポールに彫られた像は、その一族(トーテムポールの所有者)の自然界のシンボルです。それは、動物であったり、植物であったり自然の現象であったりします。
日本でいう紋章のようなものです。トーテムポールは仏像のような偶像ではなく、崇拝の対象物ではない。家系(祖先)に関する伝承や事件、戦い、めでたい事などを動物や人の形に象徴的に刻み込んだ家系の歴史といえる。また、特別な行事や死を記念して象徴的な形や紋章としてその中に刻み込まれる。
たいていは、トーテムポールの一番上の彫刻するものが、その一族を見分ける象徴であり、氏族の由来であり、紋章そのものであったりします。
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例えば、サンダーバードの神話上の存在は、すべての精霊の中でもっとも力のあるもので、サンダーバードが一番上に彫刻されている場合、主にクワキウトル族のものと判断できる。まれにハイダ族、トリンギット族のトーテムポールにも見られるが、彫られている動物及びその彩色により、どの部族のものかがほぼ判断できる。(判断が難しい場合もある)
すなわち、この「トーテムポール」を知ることが、シルバージュエリーで実際に彫られる動物の意味を深く理解することにも繋がるのである。 |
トーテムポールは大まかに以下の4つに分類できます。 |
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家系の紋章や言い伝えを表現している記念柱、追悼としての柱。
特別な行事(ポトラッチ・戦い)を記念して建てられたものです。
又、偉大な夢、先見力を表現するためにも建てられます。 |
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「死」を弔い、故人を記念する柱。墓柱。
先端部は遺骨が納められるようになっている。 |
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家屋の中の立てられる支柱。 |
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家屋の正面に建てられる柱。 |
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トーテムポールは、朽ち果てて、土に返れば、そこから栄養をもらった新たに芽生えた木々たちが森を再生し始める・・・・・
自然(大地)から作られたものは、又自然(大地)に帰る・・・・・
食物連鎖とも言える自然の摂理に従った考え方である。現在、リサイクル(環境保護)に関心をもつ世の中になりつつあるが、ここでは、昔からその考え方が息づいているのだ。
彼らからすれば、博物館に飾られているトーテムポールは霊的な力を失っているという。
確かに、その作られた場所に存在するからそのトーテムポールは輝きを失わないのであって、朽ちても、倒れていても、それを見る人々に「感慨深い何か」を与えるのである。
ただ、便利に簡単に鑑賞できる博物館のトーテムポールは、最初の興味を持つきっかけとして見るにはいいことだが、先住民がトーテムポールに込めた思いの本質を肌で感じるためには、実際にそのトーテムポールが建てられた場所に行って、朽ちかけて自然に帰っていく“あるがままの姿”を見ることがなによりも重要なのではないか・・・・・ |
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クイーン・シャーロット諸島は150以上の島々からなっています。その最南端にあるアンソニー島には先住民族(ハイダ族)が残した巨大な朽ちかけたトーテムポールが残っておりユネスコ世界遺産として1981年に登録された。
クイーンシャーロット諸島はハイダ族の言葉で「ハイダ・グアイ」と呼ばれており、「人々の島」という意味です。機会があれば、この島に行かれることをおすすめします。 |